ポンコツ女の大行進

いにしえの若手俳優ヲタクの昔話

恋とはどんなものかしら

今クールのドラマは月9とセカンド・ラブしか見てない。
テレビがお友達と豪語し、下手したらわたしより芸能人やアイドルに詳しい御年52歳の父親が新クールになるととりあえず民放で放送されているドラマの第1話を手当たり次第全部録画する。まず父親が全ての1話を見て、「お前○○絶対好きだぞ」と教えてくれる。父親のそれと、SNSや友人の口コミを参考にわたしは厳選された数本のドラマの1話を見る。その中から更に2話以降も見たいと感じたもののみ、今期自分が見るドラマとして決定する。それがここ数年のルーティンワークだ。
今期(2015年1月クール)は、ゴーストライター、残念な夫、○○妻、問題のあるレストワン、ウロボロス、流星ワゴン、学校のカイダン、お兄ちゃんガチャなど、見ようと思っていたドラマは沢山あった。でも結局忙しく、父親が録画した1話もまともに見れずにどんどん2話3話とたまってしまい、あれだけ楽しみにしていた若手ワラワラ舞台の学校のカイダンですらまともに見れずに終わってしまったし、皆がほもほも大騒ぎしているホモボロスことウロボロスも1話すら見られなかった。
セカンドラブは見ているけど毎週たまたまその時間暇をしてると言うだけでそんなに面白いとは思ってない。イケメンの濡れ場が見たいだけと言ってもよかったんだけど、あまりにもKei Tairaがクソ男すぎて最終回を目の前にしてイライラしてきた。

そんな個人的には全く見る時間がなかった今期、唯一毎週放送を楽しみにしていたのが月9の「デート~恋とはどんなものかしら~」だ。
リーガルハイ好きは皆ツボらしいけれどわたしはあれだけ話題になったリーハイは全く見ていない。ただラブロマ・ラブコメが好きで、70年代~80年代くらいの懐かしいにおいのするPOPな雰囲気も好きで、会話劇が好きで(最高の離婚とか大好きだった)、そんな好きが重なって、回を重ねるごとに大好きになった。

わたしは9話の内容泣いてしまった。
観てない人にわかるように解説をする能力は全くないんだけどざっくり言うと、超合理的主義のリケジョ依子(杏)ととある事から長年高等遊民と言う名のニートをしている巧(長谷川博己)がお互いの利害が一致していると言う事で全くお互い好きじゃないのに結婚を前提に付き合うようになるんだけど、なんやかんやあってやっぱり恋愛をきちんと経験してみたいと別れる。その後依子と巧それぞれに想いを寄せている鷲尾(中島裕翔)と佳織(国仲涼子)と付き合う事になって、はじめはデートってこういうものか!って楽しんでいた恋愛不適合者の依子と巧が段々鷲尾と佳織のデートの誘いを何かと言い訳して断り連絡を取らなくなってしまう。なのに別れたはずの依子と巧は毎日のように連絡を取っていた。
鷲尾と佳織は2人の気持ちを確かめる為に同じアイススケート場にやってくる。で、依子と巧は好きじゃないと言いながらもお互いの事が好きなんだと言い、「本当の愛とは相手の幸せを願う事だから」と身を引く覚悟まで決める鷲尾と佳織。

でもそれを当事者2人は真っ向から否定し、あれだけ言い訳つけて断っていた鷲尾と佳織とのデートを「楽しい」と言う。なんで楽しいデートを断り相手と会う事を拒み続けていたかと言うと、「不本意」だからだと。

何の事やらって感じなんだけど、その後の2人の話が本当にわたしはお気に入りで、どうって事ない台詞なのになんだかすごく涙が止まらなくなってしまったのだ。

職場に見慣れない職員がいたんです。
機能的でない服を着て機能的でない靴を履いて、一日中髪型のことばかり
気にしているいかにも仕事ができなそうなバカOLです!
ガラスに映った私でした。愕然としましたよ!

朝起きて自分がどこにいるのか分からなくなった。
本棚に「EXILE」だの「三代目J Soul Brothers」だののDVDが並んでるんだ。
僕の部屋だったよ!くらくらした!

体力維持のための腹筋とスクワットはやめてしまい、代わりにバストアップや
お尻アップ体操をするようになったんです。
鷲尾さんにいつ性交渉を求められても いいように!
わっ!あっ・・・こんなの私じゃない!

どうすればATSUSHIのファルセットが出せるだろうかとばかり考えている。
だってホントに素晴らしいもの!佳織が好きになるのも分かるよ。
だけど、こんなの僕じゃない!

仕事のミスなんて絶対にしない完璧な依子が仕事でミスを連発し、朝食のメニューは曜日ごとに決まっているのにそれすらまともに守れなくなった。文学や映画が大好きな巧も、大好きな小説を読んでても映画を観てても内容が全く頭に入ってこない。今まで当たり前に生きてきた自分を上手く生きる事が出来なくなってしまって鷲尾や佳織と一緒にいる事で変わってしまう自分にストレスと憤りを感じてしまったと。

そんな2人を鷲尾と佳織は思わず抱きしめます。
そうだよなぁ。自分と一緒にいる事で好きな人が不本意ながらに変わって、自分に好かれようとしたり自分の趣味を共有しようとしてコントロールが出来なくなってパニック起こしてるなんて、そりゃもう愛おしくてたまらないだろう。

その不本意に対して同行していた佳織の兄貴は「お前ら、それ恋してんじゃねーかよ」と言い放ち、「これが・・・恋・・・」って初めて恋愛不適合者の2人が「恋」を認識する訳だ。

もうテンパってる依子と巧がものすごく可愛くて仕方なかった。眼鏡スーツの依子がコンタクトにしてゆるふわOLみたいな服を着て、鷲尾からの連絡を待ってる。通常モードの日に急にデートに誘われたら対応出来ないから、いつ誘われても大丈夫なように毎日ゆるふわOLスタイルで出勤する(ただ服のバリエーションはなく、同じゆるふわ服を5日分買い込むのも依子らしくてかわいい)。
巧は佳織とカラオケに行ってもめっちゃ渋い曲しか歌えず佳織を楽しませる事が出来ないからEXILEのライブDVDや24カラッツのジャージを買い(もちろん母親のお金で代引き)、貧乏画家の佳織にカラオケ代を出させまいととうとうアルバイト情報誌まで読むようになってしまう。
好きな人に合せようとか好かれようとする気持ちはごくごく普通の事なのに、2人は今まで恋愛をした事が無いからこれが相手に対する好意だと気付かずに自分が自分でなくなっていく様子に戸惑いを隠しきれない。
あーーーもう!!!!それが恋だよ!!!ってちょっと涙すら出た。愛しすぎて。

 

でもこのアイススケート場での出来事は、ネットでも完全に真っ二つに意見が別れてて、「そうだよね、好きな人の好きな物を知ったりもっと魅力的に思われたいって努力して変わるそのパワーが恋だよね!」派と「そんな姿本来の自分じゃないじゃん、本当の自分を偽らずありのままの状態で一緒にいたいと思う事こそが恋だ」派。
わたしはどちらかと言うと前者派で、「恋」ならそういうものでいいんじゃないかなぁと思う。愛と恋の違いなんて世界中で散々ディベートを繰り返されてきたと思うし臭い話もしたくないけど、「好きな人の為に自然に頑張っちゃう、普段の自分でいられなくなっちゃう!」って言うどこにもやりようがない感情は恋なんじゃないかなぁと思う。ありのままの状態の相手を想える事は、恋じゃなくてもう愛なんじゃないかなって。
だから今回の依子の巧の感情は、佳織の兄貴が言った通り「恋」なのだとわたしは思った。だけど依子と巧が2人でいる時に何の無理をせずに本来の自分でいる事が苦痛でないなら、それは愛だと思うし、もし結婚をするんだったら恋する相手じゃなくて愛する相手とするべきだと思う。

亡くなった依子のお母さんの霊が依子に「あなたそれが本当に恋だと思ってるの?」って語りかけるところで次週に続いてて、多分ありのままの姿でいても苦痛じゃない依子と巧の関係こそが本当の恋なのよーって言うのがドラマのラストなんじゃないかなぁと思う。
でもやっぱり依子と巧の間に発生してるのはどちらかと言うと恋じゃなくてお互いの悪いとこも見せあえる親友に近いと思う。何も愛って恋愛関係だけに発生するものじゃなくて、家族も愛だし友情も愛だし。

この9話を見て、高校生の時に多分人生で一番「恋してた」時期の事を思い出してすごーーく懐かしくてすごーーく恥ずかしくなった。
高校生の時付き合ってた彼氏は20歳で、私服で歩く彼氏の隣を制服で歩く事がすごく恥ずかしく思えた(今ババァになった立場で考えると多分JKの彼女を連れて歩く事が20歳の男子にとってはステータスだったんじゃないかなぁと思うしわたしが制服で出歩かない事をもしかしたら残念に思ってたかもしれないけど)。普段はサルエルパンツとかドレープのきいたゆるゆるのカットソーとか着てるのに、授業後に出かける日なんかにはオフショルのワンピースとかカバンに潜ませたりして。そんな格好ほんとはしたくないのに釣り合う為に必死だった。
普段は来週のジャンプの事と週末のコスに使う衣装やヅラの事ばっかり考えてるのにずっと授業中もメールが来ないかが気になって、でも相手は社会人だったから日中にメールが来る事なんてほとんどなくて、夜まで結局連絡が来なくて凹んだりしてた。
友達といる時に普段のわたしじゃない事を指摘される事が恥ずかしくて必死に普段通りのわたしを演じてたけど、どう考えてもふわふわするし自分のコントロールが出来なくなってた時期だと思う。

デート9話はまさにそんな話で、自然に相手に合せるよう無理をしちゃう事を果たして恋と言うのか、そんな偽りの姿しか見せられないのは本当の恋じゃないのか、そんな事を一週間ぼんやり考えていた。
成人になってからも基本的にスタンスは変わらなくて、普段通りのわたしを好きになってくれる人を探すのは無理だから、いかに万人受けする女子になるか、いかに男受けを狙えるか、いかにモテるかと言う事だけを日々考えてきた(ただ毎日そんな事をやってたらストレスで死ぬので飲み会とかの日だけだけど)。前のエントリーでも書いた事があるけど、わたしは普通にしていてモテる類の女じゃないので頑張らないとどうにもならない。でも頑張るのはかなり疲れる。時間もお金も手間もかかる。だから、基本的にはやっぱりありの~~ままの~~~わたしを好きでいてくれる人と肩の力を抜いた恋愛が出来たら最高なんだよなぁと思う。

再来月また1つ歳を取ってしまう訳だけど、この歳にしてやっとありのままでもどうにかなってる状態にたどり着いたので、あとは熱しやすく冷めやすい性格のわたしがいつまでこのフェニルエチルアミンをノルアドレナリンにせず出し続けておけるかが問題だなぁと思う。

デート、あと10分で最終回。