ポンコツ女の大行進

いにしえの若手俳優ヲタクの昔話

お前に初めて背中を見せて歩き出す

また一人、若手俳優がある日突然わたしたちの目の前から姿を消した。
ヲタクたちは1日の猶予期間も与えられず、本人にさようならや頑張ってと言う言葉をかける事すら許されず、永遠と言ってもいい別れを突きつけられた。

今回はよくある「昔からの夢を叶えたい」とか言う本人の意思による引退とは少し違って、いや厳密に言ったら最後は本人の意思なんだけど、わたしたちの前に立ち続けると言う選択を出来ない病気が彼を襲った結果、引退と言う決断をさせてしまった。

わたしは、龍輝がいつからどのような症状で悩んで、どんな病気に襲われて、どのくらい深刻に治療と向き合わないといけないかは全くわからない。そもそもひねくれた事を言ってしまえば本当に病気なのかもわからない。前の舞台を降板した時は「龍輝EXILEにでもなるの?」ってふざけて言ってたくらいだし(TAKAHIROテニミュ降板事件参照)。
ただもし本当に病気だった場合一つ言えるのは、「やりたい事が見つかった」「子供の頃からの夢を叶えたい」と言う理由で引退していく俳優たちと違って、彼の意思とわたしたちの努力だけでは食い止めきれなかった選択だという事だよね。

ここ数年またバタバタと2.5次元界隈の俳優たちが引退をしているけど、過去に追ってたとか、そういう特別思い入れのある俳優はいなかった。引退の発表を見る度に、この人のヲタクはどんな気持ちなんだろうって心配にはなったけど、その苦しさを共有する事はなかった。

でも今回は、高橋龍輝は違う。わたしのミュヲタ人生は彼なしでは語れないと言っても大げさでない程、わたしにとって、わたしたち五代目厨にとって、彼は物凄く思い入れのある唯一無二の存在だ。唯一無二の、五代目青学の越前リョーマだ。

 

この誰が読むんだよってくらい長い記事でも再三書いたけど、わたしは歴代青学の中で一番五代目が好きだ。普通であれば生で公演を観て好きになるだろうけど、わたしは四代目で特別夢中になれるキャストがいなくて、発表される前から「五代目にはハマれますように!いや、最早無理やりハマろう!!」みたいな意気込みだった。
それで、いよいよキャストが発表されて、四代目と並んだ時の圧倒的な華のなさ、四代目卒業前に出てきちゃったので全く注目されてない感(いやむしろ引っ込めって叩かれてたし)、「人とと違うものを好きなマイノリティのわたしイケてる」と言うマインドを持った当時のわたしにとっては物凄く魅力的な青学だった。
いや、すごい失礼な話で申し訳ないんだけど、会いに行けるアイドルならぬ会いに行ける青学感とか、限られた人だけにしか伝わらない彼らの魅力があって、勝手に「この子たちはワシらが守ってやらねば!!!」って思って夜な夜な鍵なし垢で学級会開いて、いかに彼らが不毛かを滔々と世の中に語り続けてた。7〜8年前の話だけど、今わたしが当時のわたしの垢を見つけたら鍵垢で全部RTして叩きまくってたと思う。それくらい痛かった。今でも痛いけど(・・・)

とにかく年中無休で彼らの事ばかりの考えてしまうくらい、今でも五代目の事を考えると涙が出てしまうくらい、彼らの事が大好きだった。
年長組だし手塚なのに全然頼りがいのないいじられ役の馬場くん、可愛こぶりながらも常にお前らバカとは違うって最後までマイペースを貫いた汰斗、天才的に美しいビジュアルと天才的に短い足を持つ天才的なバカの翔太ちゃん、しっかり色々考えてるように見えて案外何も考えてない辻くん、空気と間を読むのが人類一苦手なエボ、大人なのに結局皆にいじられて乗せられると断れない乙紘、想定の斜め上をいく手の付けられないド天然の田舎者林くん、歌もダンスも五代目の中で一番上手いのにそれに驕らず常に皆を盛り上げてくれるトシくん、影の実力者で常に全力で笑いを取りに行くまる、円陣の掛け声だけで爆笑を取る癒し系ひらちゃん、空気が読めないんじゃなくてあえて読まずに人と人の垣根を越える里央、カツオの概念を覆すイケメン将史様。
そして、そんな個性のサラダボウルみたいな五代目の真ん中でただニコニコ笑ってて、舞台に立つとものすごく色っぽくかっこいいリョーマを演じてくれた、龍輝。

今でこそ、「リョーマテニミュと言う大きなカンパニーの座長であり、いつでも皆を引っ張るしっかりした存在であるべきだ」みたいになってるけどその文化はきっと小越勇輝が作ったもので、それまでのリョーマは座長ではあったけどお兄ちゃんたちから可愛がられて輪の中心でニコニコキャッキャしながら笑ってるだけでもよかった。もちろんリョーマを演じてる時以外の話だけど。
たくさんのお兄ちゃんたちに目いっぱい甘やかされて、愛されて、少しづつ大人になっていったのを顕著に感じられた。わたしたちが最初に見ていた氷帝公演でぐしぐし泣いてたちびっ子は2年後幸村を気迫で打ち負かす、「ぼくたちがかんがえたさいきょうのえちぜんりょうま」になっていった。
成長も見てとれたし、調子がいい時悪い時、機嫌がいい時悪い時、いい意味でも悪い意味でもそれがすぐこっちにわかっちゃう、素直な龍輝が大好きだった。


わたしは龍輝のファンではない。
何度も言うけどわたしにとって「ファン」っていうのはその人のためにお金を落としている人の事だから、その点ではわたしはあまりテニス卒業後の龍輝の芝居を見に行った事がなく、ファンとは言えないと思っている。
DステやとかDのイベントは何度か行ったけど、ここ1,2年で、岡村おじさんとか他の演劇好きの女性たちに絶賛されるようになった高橋龍輝さんを見てなかった。
減るもんじゃないし、そんなに皆が褒めるなら今度ちょっと観てみようかなぁと思っていた矢先の今回の出来事だった。

思い出の中の可愛い愛され龍輝くんに満足して、あれだけ色んな人に褒められている今の龍輝を観る事を後回しにしてしまった事を今心の底から後悔してる。
どうせヲタクやるなら悔いのないように、欲望には貪欲にってずっと思ってきたはずなのに、結局こうやって後悔するんだな。
お金がないから、忙しいからって後回しになると本当にいつこんな事になるかわからないから本当に追っかけは刹那的な趣味だね。
手を伸ばした時にもう彼はそこからいなくなってしまうんだね。
もっと龍輝のお芝居見とけばよかったなぁ。

わたしはまた、君のくしゃって笑ったおブスな顔が見たいよ。
ゆっくり休んで、またお芝居がしたくなったら、いつでも戻ってきてください。
待ってます。

わたしは君が五代目リョーマだった事に本当に感謝しています。
君のおかげで、わたしは最高に幸せで充実した2年間を送れました。
ありがとう。お疲れ様でした。