ポンコツ女の大行進

いにしえの若手俳優ヲタクの昔話

バスツアーは地獄の所業

秋だね。
怒涛の夏の舞台祭りが終わり、秋から年末にかけてファン感謝イベント、ファンクラブバスツアーなどを行う俳優も多いと思う。
本来であれば推しに舞台以外の空間で会える事はこの上なく喜ばしい事なんだろうけど、同厨嫌いにとって避けて通れない「バスツアー」と言う名の地獄の催し。
周りから同行してくれる人がいないと言う絶叫が聞こえてきて、あぁ今年もまたこの季節がやってきたんだなぁと感じた。

舞台やイベントはまだいい。別に1人で行けるから。1人で見て帰って来ればいいだけの話だから。
でもバスツアーは違う。グループで何かをやらなければならず、最悪の場合泊まりとなると同厨とホテルで一夜を共にしなければならない事もある。
大体関東近郊一泊で5万、沖縄や北海道で10万弱、海外でやられた日には数十万。こんな大金払ってなんでそんな辛い事を経験しなければいけないのか。
じゃー行かなきゃいいじゃんと思うけど、他のヲタクが推しと仲良くバーベキューで肉をつつきあって夜はお風呂上がりにお部屋訪問があって2ショチェキ撮ってる状況で家にいれる訳ないのよ。
ていうか必死なヲタクはそもそも「参加しない」って選択肢を持ち合わせてないから、もうどう乗り越えるかだけに全てを賭けてる訳だよ。

一万以下の日帰りバスツアーだったら全く推しかぶりしてない友達にお金を払ってついてきて貰う。付き合いが長いヲタ友だと暇なら来てくれる(あとわたしがあまりにかわいそうでついてきてくれる)。
ただ泊まりとなると、1人5万の参加費を2人分払うのはかなりきつい。1万くらいプラスすると1人部屋にはしてもらえたりするけどいくら部屋を1人にしてもらってもバーベキューやらゲーム大会やらもあって他のヲタクと接点を持たずに最後まで任務を遂行する事は不可能だ。

わたしは泊まりのバスツアーが決まる前にツイッターのみの付き合いがあった浅い関係の同厨に同室申し込みしないか聞いてみた。
特別気が合う訳ではなかったけど単体で申し込んでわたしの大嫌いな集団の中に1人入れられたらそれこそ旅行先の森林の中から出てこなくなっちゃうと思って、最悪を回避出来る選択をした。
行きのバスでひたすら推しからもらったファンサの自慢をされたけども、わたしの厨歴は彼女たちの倍以上長かったから、どれを聴いても全く羨ましいと思ってなかったし、「このバスツアー内で名前を覚えて貰うのが目標!」とか言い出した時には適当な相槌すら打てなかった。

その子は多分根は悪い子ではないんだけど、推しを目の前にすると周りが見えなくなっちゃう子なんだと思う。
俳優ヲタだったら誰でも推しが目の前にいたら夢中になっちゃう事は少なからずあるだろうけど、グループごとのバーベキューで推しがテーブルを回る時に推しと一緒にテーブルを移動する、推しがトイレに行く時に一緒についていく…ちょっと目に余るものがあった。でも他にも同じような事をしてる人は何人かいたし、何より本人も事務所も本当にガードゆるゆるなので誰も注意する事なく、わたしも笑いながら「もーちゃんとカレーの準備してよー笑」とかしか言えなかった。
推しがうろうろしてる時間は正直喋ったもん勝ちみたいなとこあるし、高いお金払ってるんだから1秒でも多く接触したい気持ちはよーくわかるんだけど、決められた役割を放り出したりグループから勝手に離脱したりするのはやっぱりルール違反だと思うんだよね。

まぁこれくらいならいいんですよ。新規必死だなって思っておけばいいから。多分バスツアーにおいて一番問題になるのは泊まりの場合のお部屋訪問だと思う。

わたしが行ったバスツアーの時は一部屋持ち時間3分で、全員で談笑しても1人何秒って決めて個別で喋ってもおっけー、火を使う音がなる(ケーキのろうそくやクラッカー)以外は何でもおっけーみたいな感じだった。
1人何秒って決めても緻密にそれを守れる訳ないし絶対時間切れになるから全員で喋る感じにしようと提案したけど個人的に喋りたい事があると言われ、4人で3分を分けることに…。
それで例の困ったちゃんは1人で2分使ったからね2分。
しかもその2分間ずっと「わたしの名前覚えてくれました?」「んー…顔は覚えたの顔は!ちょっと待って!」「いい加減覚えてよー」「待って、確か…子つく?」「つかないです!二文字!」みたいな事をひたすらやってた……。それこそフリータイムでやれよクソが。
で、2番目のKYな子が1分使い、わたしももう1人の子は喋れずじまい。スタッフに時間切れと言われてもまだ喋ってない子いるからーと時間を延長してくれる推しの優しさよ。(各部屋でこんなことやってるから結局全部の部屋まわるのに深夜3時までかかったみたいだけど…)名前すら覚えてもらってない子の横でわたしの名前を呼んでくる推し。
ざまぁとしか思わなかったけど認知云々以前に山ほどあった喋りたい事が全く喋れなくてもうすげーー腹立った。それでも一晩一緒にいなきゃいけない訳だし、東京まで一緒に帰らなきゃいけない訳だしこの怒りを全面的にぶつける事は出来ず、「時間守ってくれないから話ちゃんと出来なかったじゃんー笑」とまた冗談半分で不満を言うしか出来なかった。
「えーでもはなちゃんは名前覚えてもらってるし呼んでもらったんだからいいじゃん時間譲ってよ笑」と返されて、もうこの子とは友達続ける事は出来ないなと思った。
もう1人時間を奪われた子は内心どう思ってたかはわからないけどそいつと元々仲がよかった事もあるし多分他のメンバーよりはゆるいスタンスだったので「明日までに覚えてもらえるといいねぇ」とかニコニコしながらそいつと一緒に大浴場に行っていた。
すごいな。心広すぎでしょ。
わたしも誘われたけどとてもじゃないけどこの子たちと裸の付き合いをする気になんてなれなくて、1人で残って東京にいる他厨の友達に泣きながら電話をかけた事を覚えている。

今冷静になるとなんでそこまでヒステリックになったのかわかんないけど、彼自身も多分ピークで人気で新規もめっちゃ増えたタイミングで、今まで少人数で回してたヲタク界隈の人数が一気に増えてわたしも負けたくないと必死だったんだと思う。
多分あのタイミングでないともう一生バスツアーなんてやらなかったと思うけど、わたしにとっては最悪なタイミングだった。

1泊2日一緒に過ごしたら、そりゃもちろん嬉しい事言われたりする事も沢山あった。
でもそれ以上にあまりに辛すぎる事が多すぎた。
バスツアーは新規がしゃしゃって名前覚えてもらって古参と肩を並べるためのイベントじゃない(まぁわたしと同じくらい長い間彼を追ってる集団な人たちもそれはそれで色々どうなのって思う事もあったけど。)

そんな事があって、わたしはますます同厨拒否になった。
こんなに辛い思いするくらいなら寂しくても1人で追ってた方がよっぽど楽しいと思った。
周りの友達は推しかぶりこそしてないもののわたしがこんな事があったんだよって報告したら皆話聞いてくれてよかったねって言ってくれる。
人によって違うだろうけど、適当に相槌打ってもらうだけでわたしは満足するんだから別に「Aだった」って報告したら「Aだったんだーよかったねー」って言ってくれるだけでいいや。
「そうだよねーAだよね!」って共感してくれる人はいらない。Aだったと言う記録や記憶は別に同厨と共有しようとは思わない。それならまだしも「わたしはBだと思う」って言う人と接触する方がよっぽど苦痛。

自分自身のそんな経験もあって、同厨拒否の人の推しのバスツアーが決まる度に心の底から同情してしまう。
金を払って同厨とレジャーを楽しまなきゃいけない催し、断食道場より苦痛だわ。

同じ人を好きな者同士仲良くしたいって言う人が世の中の大半で、同厨拒否と言うのは理解され難い傾向かもしれない。
だから、バスツアーが決まったらきっと99%のヲタクは、推しと肉がつつける、推しとゲームが出来る、推しと写真が撮れるって喜ぶと思う。
でもわたしのような人種にとっては最もやって欲しくない仕事なのだ。

今後推しがバスツアーをしそうな人は、推しの仲良しの俳優のヲタクを友達に沢山持っといた方がいい。
限りなく貪欲なヲタクだと「○○くんの話題が出るかもしれないから!!」ってついてきてくれる事がある。抱き合わせのバスツアーになった時には我々の勝ちだ。

 

身バレギリギリアウトくらいなところまで書いてしまったけど、もうあんまり現場行ったりしゃしゃったりしないつもりなので、同厨の皆さんは推してる人が同じだと勘付いてもそっとしといてください。

身に覚えのある人はわたしの数年打ち明けられなかった思いを知ってください。

これは推しが彼だったから起こった事ではないし、わたしはこの先どの俳優を好きになってもきっと同じ場面に出くわすんだろうなぁと思う。
そんな状況で俳優ヲタ続けられるって、我々ほんとにメンタル強いな・・・。