ポンコツ女の大行進

いにしえの若手俳優ヲタクの昔話

わたしは人気者を応援できない

10年来のヲタク仲間であるSの推し・平埜生成がドラマの主演に抜擢された。
本当にめでたいと思ったし、この1年大きな舞台は数本あったけどあまりお仕事がなくて凹んでたから心の底から祝福した。

ここでもよく話に出てくる今1番よく遊ぶ友人Nは、芸人の中で今1番推してる銀シャリM-1優勝に当日嬉しくて泣き崩れた。
予選が始まってから長い間ずっとそわそわしてるのを見てきたし、なんならM-1決勝当日は半年前からチケットを確保してた横澤夏子の単独ライブツアーのファイナルだったのに、連番してたNがずっと上の空だったのを隣で見てた。

自分が応援してる人の成功は自分の事のように嬉しいし、心から祝福出来るし、これからもずっとついていこうって思うのがヲタクの心理だと思う。
でもわたしは、成功した人やこれから大勢の人に支持されるであろう人を応援し続ける事が出来ない。おかしいと思うけど、これはもう一種の性癖なので誰に咎められても変えられないのだ。

賞レースで何かを獲得したり、大きな仕事が決まったりすると、「なんか遠くに行っちゃう気がして寂しいな……」って声が少なからずファンの中からは出ると思うけども、わたしの場合は度を超えている。
「でかい仕事決まった!やばいヲタク増える!降りよう!」ってな感じで次の発芽したての芽の水やりに出かけてしまう。
多分この頭のおかしい行動の根底にあるのは結局わたしがド認知厨だと言う事なんだろうけど。

「遠くに行ってしまう」「手の届かない人になる」は、要するにわたしをわたしとして認識してくれていた人が、ヲタクが増える事によってわたしをワンオブゼムの中にぶち込んでしまうって事だと思う。
3人しかヲタクがいなかった頃は、3分の1がわたしだったのに、100人に増えたらわたしはたった100分の1になってしまう。それがわたしには耐え難い。


今まで俳優にハマる時も、顔がどう、芝居がどう、人柄がどうって言うのを判断する前に、まず「この人は今どのくらい人気なのか」を確認する。他の条件が自分にぴったりであっても、これから追いやすい環境じゃなければそれ以上深入りしないように勝手にストップをかける。我ながら勿体無さすぎると思うけど。
まず、過去の教訓から、
①特撮に出そうにない
②声優になりそうにない
テニミュに出そうににない
と最低限3つの項目をクリアしないとMy脳内稟議で推しとして認定して貰えないシステムを極力採用するようにしている。

 

①特撮に出そうにない
わたしは小澤亮太の顔が好きだ。
全人類の中で山本裕典の次に好きな顔だ。
ゴーカイジャーに決まる前、彼が小さな舞台中心に活動してた頃、たまたまイベントで握手をする機会があった時にあまりに顔が好みすぎて直感で「顔だけで追える!!!」とMy推しとしての予選エントリーをした。
その後何個か舞台を見に行ったけど、本格的に推す前に特撮が決まってしまって始まる前に散っていった恋になった……ゴーカイのプレミア発表会の日のブログにはわたしが最後に出したお手紙の姿があるけど、それからは一度も手紙すら出してない。
ゴーカイ始まりたては切り抜きを集めたりおもちゃを買ったりしてたけど、そもそも特撮を100%追える時間もお金もなかったので、中途半端な事はやめようと早々に離脱してしまった。

②声優になりそうにない
ご存知の通りわたしはテニミュ初代の頃、宮野真守にリア恋をしていた。元々細々と声優の仕事もやってたけどあくまでメインは俳優業だった。
どうしてもやりたかった仕事のオーデに受かったと報告があって、それがデスノの月役だった。
そこから段々彼は職業:声優になってしまった。
これだけヲタクを謳っておきながら、わたしはアニメという物に全く興味がない。勿論、好きな漫画のアニメ化とかがあれば観るけど、アニメにハマるって事は今まで一度も経験がないし、声優にも疎いし、テニスやらうたプリやら、アニメにハマるのはわかるんだけど、ライブでキャラの声をした男の人たちにキャーキャーしてる人たちの気持ちは驚く程理解できない(理解出来ないだけで否定する訳じゃないですよすみません)。
真守が声優をする事がものすごく嫌だった。
わたしはこの人の顔で、体でのお芝居表現が好きなのに、なんでこの人は中の人になる事を選んでしまったんだろうって。
降りた理由はそれだけじゃなく結婚とか結婚とか結婚とか色々あるんだけど、今や横アリを1人で埋める彼を見て、渋谷のスクランブル交差点に巨大なポスターが貼られてるのを見て、引き際を早めに見極めといてよかったなぁと思う。

テニミュに出そうににない
テニミュに出る可能性を秘めている人などもってのほかだ。
どんなに原作不人気キャラを演じていても、わたしのようなマイノリティ思考の人が手をつけるに決まってる。
真冬でも生足全開でサンリオのふわふわ加工のアイコンでついったーをしてるJKの待ち厨が付くに決まってる。
もうあの作品に出たテニスの王子様たちは、どんな子でもわたしだけの王子様()ではいてくれないのだ。
ましてや30前の最近肝機能の数値を気にするババァなんて願い下げにも程がある。
年をとればとるほどテニミュキャストには近づかないように心掛けている。近付くとうっかり10個も下のキャストにハマるから。
テニミュOBでどんなにマイナーなキャストであってもテニミュ時代から追ってる人がゼロな訳ないから、わたしより過去を知ってる古参がいる時点で駄目だ。
テニミュキャストは無限の可能性を秘めすぎていて迂闊に手を出すと危険だ。
人気2.5次元の人気キャラに抜擢されるし特撮にも出るし声優もやるぞ。危険すぎる。

 

でもこの年になって、同世代でもうテニスや特撮に出る可能性のない、声のお仕事も回ってきそうにない、舞台のアンサンブルしか未だにやらせてもらえないような俳優ってもうそもそも俳優としての今後がないでしょ。
華々しい未来は待っていなくてもこれから先追ってて楽しい事もなさそうじゃん。
有名になるのはいやだけど、仕事がないのもいやなんだ。なんて自分本位の条件なんだろうね。
その結果、わたしはここ数年新しい推しに出会う事が出来なくなってしまっていたのだ。

 

皆下積み時代から応援してる人が開花したら嬉しいものだ。
アイドルにしても俳優にしても、まだ知名度が低い段階から応援して、有名になったらワシが育てた感出して幸せな気持ちで背中を押してあげられるものじゃん。
なんでそれがわたしには出来ないんだろう。
一般人の友達に、佐藤健かっこよくない?瀬戸康史かっこよくない?って言われた時に、「あー昔好きだったわー」って当時撮った写真をドヤ顔でお披露目する事くらいしか出来ないよ。しょーもない。

既に大分今更感はあるけど、可愛い可愛いクロスちゃんがビッベンみたいに有名になってしまったら、またきっとわたしは驚くくらい一気に冷めてしまうんだろうなぁ。
だから、もじこれから有名になるのであれば是非わたしがこれ以上お金を使う前にさっさと有名になってくれ。頼む。