ポンコツ女の大行進

いにしえの若手俳優ヲタクの昔話

青春をバカにされた十代のわたしに謝って

こんなに2.5次元がヲタク業界に受け入れられるようになる15年後なんて、誰も想像してなかったよね。

2.5次元舞台の代表と言えばテニスだし、舞台で活動する若手俳優厨は大抵きっかけはテニスだった。
2.5次元沼〜〜とか言ってる人たちは皆テニスを通ってると思ってたけどそれはもうきっと昔の話だ。
この前のあんスタの話の時も、「テニミュ観てる人なんて今はもうあんまりいませんよ」って言われたし。
今は大コケですらないものの、青学が卒業するドリライですら『入手超困難』ってレベルにはなってないと聞いた。行きたいと思って席も選ばないならどうにか手に入るレベルかのかな。
王者としての勢いはもう衰えてしまったのだろうか。

わたしは、テニスきっかけで俳優ヲタクとして爆誕し(いや、厳密に言うと超初期はウォーターボーイズなんだけど)、テニスや他の原作モノ舞台の躍進と共に大人になり、どんなに衰退してもテニスこそ2.5次元のトップに君臨するものだと信じていた。
生まれたてのヒナが初めて観る者を親と思うみたいな感覚で、わたしにとってテニスは俳優ヲタクなわたしを産んだ親のような存在。
別に他の2.5次元観てる人たちに無理やり履修しろなんて思ってないんだけど、そんな人たちにテニスをバカにされるとやっぱりなんとなく腹が立ってしまう。
今でこそ2.5舞台が好きって言ってもアレルギー反応起こすヲタクは減ってきたけど、15年前のテニスの嫌われ者っぷりはとんでもなかった。

わたしの高校時代の友達は大抵趣味繋がりで仲良くなってるから今も現役のヲタクが多いんだけど、その子たちのわたしへの反応ったら本当に冷たいものだった。
まぁわかるんだよ、皆原作のテニスは好きだったからね。
実写化がなかなか受け入れてもらえない時代に訳わからん無名の俳優がキャラの格好して特別上手くもない歌とダンスを披露してるんだから。

推しプレゼン大会〜〜!!みたいな遊びしてもアニメや同人誌では盛り上がるのにわたしが舞台のDVD見せようものならその場が超しらける訳で。(まぁそれでもわたしはその空気に気付かないふりして見せ続けてたけど)。
仲はいいと思ってたし、仲いい人が好きなものならきっと興味を持ってくれる!とわたしが驕っていたのがいけないんだけど、興味を持ってくれないどころかそこから10年以上わたしの趣味はヲタク仲間から否定され続けた。
観て否定するならとにかく、「好きなコンテンツが実写になる」と言う事実そのものに皆嫌悪感を抱いていた。
観てない人に「気持ち悪い」と言われ続けた。
そのまま毛嫌いし続けてくれればよかったのに、ほら、もう今これだけ2.5次元化の勢力がとんでもないじゃん?
一昔前だったら抗えてたその波に皆段々抗えなくなってきたんだよね。
仕方ないんだけどさ、散々高校生のわたしの好きを否定し続けてきた人たちが皆「◯◯役の××くん尊すぎ…あーこれは沼だわー」とか軽率に言う訳で。
ムカつくってより悲しくなった。
同じヲタク仲間だと思ってた人たちに、二次元を好きな人間たちに、たったの0.5次元を全否定され続けた若かりし頃の自分が可哀想になっちゃった。
あなたが今夢中になってる彼は昔あなたが否定した氷帝のあの子だし、あなたが熱烈にリプを送っている彼はあなたが似てないと言った立海大のあの子だよ。
知らないと思うけど。
コンテンツにも出演している彼らにも何の罪もないし皆本当に頑張っててキラキラしてて素敵だと思うけど、今までテニスを散々バカにしてきたそれに夢中になってる新規たちの心のない一言に心の中に閉じ込めてある昔のわたしがズタズタに打ちのめされてる。

高校時代にめちゃくちゃ仲が良かったヲタク友達がいた。
その子も2.5次元の事を心の底からバカにしてたし、わたしがテニミュに夢中になってしまいレイヤーを辞めた時も絶対コスプレのが楽しいのに意味わかんないわって笑われた。大学が離れてから疎遠になってしまったその子から突然連絡が来たのはちょうど忍ミュが世に送り出されたタイミングだった。
彼女は忍たまが好きだったから、忍ミュを観に行って、目の前に現れて目の前でリアルタイムで生きてる、動いてるキャラクターたちにとても興奮したって、俳優たちから紡ぎ出される奥行きに感動したってわざわざ電話をくれた。
散々わたしがテニスに夢中になっているのを笑ったけどこういう事だったんだね、ごめんねって謝ってくれて、嬉しかった事をよく覚えてる。

でも最近沼沼言っている彼女たちは違う。
10代のわたしの青春をあれだけバッシングしておいて、30代になった彼女たちはかつてのわたしと同じ事を言っている。
15年前の傷つけられたわたしは彼女たちの記憶の中にもいないだろうし、忘れ去られた過去に置き去りにされたままだ。

過去わたしが夢中になった作品たちに出ていた彼らにきゃーきゃーしている友人たちの事をわたしはどうしても許容する事が出来ない。
別に彼らはわたしのものでもなんでもないけど、あんたテニス出てた時に似てないキモいって笑ってたじゃないか。
高校時代に仲がよかった友達は全員そんな状態で、数少ない学生時代からのヲタク友達、色々あるけど曲がりなりにも15年仲良くしてきた友達、最近は時間を共有する事がしんどいな。

そんな完全に自分本位な理由でわたしは刀を振る舞台とかカラフルな服着た六つ子の舞台とかがとってもとっても苦手です。
どうやったら昔のわたしは報われるんだろうな。