ポンコツ女の大行進

いにしえの若手俳優ヲタクの昔話

会える時が会う時だ

今年の春。ヲタク仲間が亡くなった。
まだ20代だった。
よく漫画家さんとかである発作とか脳卒中とかの昨日まで元気だったのに…ではなく、持病でもなく、一般的な病気で亡くなった。

普通に生まれて普通に生きて、普通に大人になって、なんも悪い事してないのに20代の女の子が、一緒に大好きなものたちにキャーキャー言ってた仲間が亡くなったのだ。
自分の事だと思って身近なヲタク友達で想像してみてください。
全くイメージわかなくないですか?
わたしもです。
事実なんだけど。
半年が経った今もわたしは一度も泣けてなくて、未だに感情が迷子になっている。

細かい事を書くと彼女の身元を特定されてしまう恐れがあるので書けない事もたくさんあるけど、わたしたちはこの数年間、ある程度の覚悟は出来ていたはずだ。
病が見つかった時にもわたしたちは報告を受けていたし、入院した事、再発した事、状態が良くない事、もしかしたらもう長くない事、彼女はわたしたちに逐一報告をしてくれていた。
きっとリアルな友達ではないヲタク仲間(ネット仲間)にそれを伝える事も勇気がいる事だったと思うけど、自分の状態が良くなくて余命宣告をされた事もわたしたちに伝えてくれた。
だからその後、わたしたちは会う機会を作る事が出来た。
現場なんて全然かぶらないし、きっとそれを言ってくれなければいつでも会えるし~~ってわたしは会う事を先延ばしにしていたと思う。
残された時間が限られている事を知っても、それでもわたしたちはどこがで、言うてもこんな元気でバチバチにヲタクしてる子が死ぬ訳ないよね〜って思っていた部分もあったんだろうな。

なんとなーく若手俳優界隈にいるって言うだけで推し同士が共演した事ないし、なんなら向こうの推しは今は職業が違うし、現場かぶる事もないし、住んでる所も遠かったから実際にあった回数はたかが知れている。
それでもこの10年、ついったーを覗けばいつだって彼女がいた。
お互い全くかぶった畑じゃなかったけどお互いが推しに嬉しい対応貰ったりしたら報告して、良かったねって喜べるような仲だった。
推しはかぶってなかったけど、最古参が故きゃいきゃいしている新規のヲタクの事に憎くてたまらないって感情でわたしたちは強く結ばれていたような気がする^^
新規から悪口言われるような事も多かったけど、彼が鳴かず飛ばずの時代から応援している彼女を知っているわたしたちは、常に1,000%彼女の味方だった。
傷のなめ合いではないけど、10年くらいの付き合いになる若手俳優ヲタ仲間の界隈は、今はすっかり死語になってしまった大切な「クラスタ()」だった。
俳優沼とか、そんな浅瀬ではないどこかでずっと繋がっていると思っていた。
学生だったメンバーは全員アラサーになってしまったけど、それでも顔を合わせれば一生昔の話して腹抱えて笑い合えるような関係が大好きだった。

30歳くらいだと親戚以外の身近な知人を亡くした経験がある人はあまりいないと思う。
でもわたしは、彼女を除いて既に3人友人を亡くしている。
持病があったとか、交通事故とか、そうじゃない。
昨日笑ってまたねって学校で別れた友人が、次の日登校してこなくて、担任が神妙な面持ちで、朝礼で、今朝亡くなりましたってクラス全員に報告するのだ。
ドラマでしか見た事ない光景。わたしは高校時代から何度か経験している。
マンガも借りっぱなし。ゲームも借りっぱなし。
小銭がなかったおとといのプリクラ代も半額返せてない、そんな友達が次の日もうこの世にいないんだよ。

死ぬと思ってなかった友達がある日突然死んでも、もう長くないですって事前に申告された友達が死んでも、結局信じられないのは同じだし、
別に事前に死を宣告されてたって、わたしたちが彼女に出来るのはいつも通り、遊んで、ヲタクの話に華を咲かせる事しかないんだよね。
「生きてるうちにまた会えるといいね」なんて無神経な事言える訳ないし。
事前に知ってても知らなくても衝撃は同じだし、信じられない具合も同じだし、泣けない具合も同じ。
リアルな友人がなくなった時は葬儀で実感する事になるんだけど、今回の彼女は急なのと遠方なので葬儀にも出席出来ず、未だにインスタもついったーも、最近更新ないな、あ、亡くなったんだ…って毎回思っちゃう。
今でもどっかで次々決まる推しの仕事に金ない~~~!!同厨消えて欲しい~~~ってわめている彼女がどこかにいるんじゃないかなって思っちゃう。

 

冗談で「死ね」とか「殺すよ?」とか聞くけど、高校の時初めて友達を亡くしてから、下町ヤンキー地域育ちのわたしですら、一切冗談でも口にしなくなりました。
どんなに偉い人が「人生は皆平等に出来ている」とか言っても、それも信じなくなりました。
病気に選ばれてしまった人は、不平等な命を受け入れないといけないと思う。
そして、身の回りの人、好きな人がそれに選ばれてしまっても、それはもう受け入れるしかないと思う。

ヲタク仲間であっても、それが推しであっても、きっと事細かに本人の変化に気付くのは無理だし、身内が病状とかを知っていてもわたしにそれが伝わるタイミングなんてきっとそんなに早くはないし、多分残りの時間が長くない事を知った状態で会う事なんて出来ないと思う。
彼らが突然の引退を発表する度に「会える時が会う時だから!後悔しないヲタク人生を!!!」って言ってるけど、本当にそれです。
今回は見送りかな~~なんかしょぼそうだし良席取れなそうだし次の舞台でいいかな~とか軽率に思ってても次があるとは限らないからね。
ヲタク仲間だって、本名とか年齢とか知らない状態で、最近見ないなぁとか思ってたらもしかしたら予期せぬ事が起こってたりするからね。
仲間も推しも、今会えるなら会ってください。

 

彼女が前から応援していた推しは、亡くなる前から徐々に売れっ子になっていってましたが、彼女が亡くなった後もどんどん人気が出てきて、当時は名前を言っても誰?状態だったのに今はその界隈では知らない人がいないくらいの人気者になりました。
新しい仕事が決まる度におい~~見てるか~~また仕事決まったぞ~~~ってRTしてます。きっと見てるからね!!

でもやっぱり、常駐していたあの子がTLに現れないのは、
いつまで経っても寂しいな。