ポンコツ女の大行進

いにしえの若手俳優ヲタクの昔話

唐突映画レビュー/ヲタクに恋は難しい

2019年近年稀に見る映画全然観ないYEARだったとは言え、去年観た映画1本もレビュー書いてなかったとか恐ろしや。

一言感想は↑こちらにまとめています。

 

※この映画が楽しかった人にもヲタク全般にも不快な思いをさせるかもしれません※

原作未読・アニメ未見組です。
この作品を含め、自分がヲタクな癖にヲタクを題材にした作品があまり好きではありません。
自分と全く違う人生を歩む人間が登場しても「人の人生」として咀嚼出来るけど、ヲタクって言うだけで頭の中で「同族」とみなしてしまうので、登場人物が自分と同じ価値観や考え方を持っていないと解釈違いでイライラしてしまうのだ。
割とヲタク仲間の中では好きな人が多いので読んでみようかなと思っていたところ、皆大好き山﨑賢人によって実写化が決まって、結局原作には手を触れていない。

ヲタクの人、ヲタクじゃない人色んな感想を見たけどいやまーー叩かれてる。
びっくりする程。色んな方向から。
福田雄一作品ってわたしは熱狂的に好きでも嫌いでもないけど、基本的には世の中から好意的に受け取られている事が多いような気がしてたから「このまま福田雄一を野放しにしていていいのか」みたいな議論にまで発展していて驚いた。

原作を読んだ者による「原作と違う」と言うバッシングは原作ノータッチのわたしにはその批判を違うよと言う権利はないと思う。
原作を読んだ者が「原作と違う」「こんなの○○じゃない」「作品へのリスペクトが足りない」と批判する権利はあると思う。

また、単なる映画好きな人が「映画として成立してない」と低評価をつけるのも納得がいく。まぁわたしも観に行って、面白かった?と聞かれたら「面白くはなかった」と答えると思う。
とは言えつまんなかった?と聞かれてめっちゃつまんなかった!!と答えられる程酷評する程ではないかなと思った。
暇ならいいんじゃない?山﨑賢人かっこよかったし。くらいの感じ。

でもこの映画の感想で本当によく目立つなと思うのは
・原作と違う
・単に映画としてつまらない
上記2点とは違う、「怒り」だった。
わたしはネットの民たちのような「映画に対する猛烈な怒り」みたいなものは特に全く沸いてこなかった。

原作と違うよ叩きは理解出来るとして、ネットで顔真っ赤にして激怒している人たちの中に、「自身もヲタクである」「原作の事は知らない」人が結構いるなと思った。
この怒りの根源は多分「同じヲタクなんだけど世の中から見られるヲタクをあのように見下して、偏見でかためて、誇張して、『普通じゃない人』と描かれた事」なのではないかなと思った。

まぁその通りと言えばその通りなのだ。
ヲタクの描き方が極めて古い。15年くらい前で時が止まっているのではないかと言う演出。

令和2年に大スクリーンでコメントが右から左に流れるニコニコ方式が取られるなんて逆に新鮮じゃない?映画の中のヲタクは電車男の登場人物と同じ世代を生きていた。
25歳overのヲタクは誰もが皆ニコニコを通っていると思ってるよ。(※これも偏見)
わたしだって毎日深夜2時の時報を聴いてもう寝なきゃ…って生活送ってたし、あんな形で世の中のヲタク皆があいつこそはテニスの王子様が歌えるようになるなんて思ってなかったよ。

あと、ヲタクは(一部を除いて)一般人が思ってるより数百倍公共の場では節度を持って行動しているので一般人がいる空間でナマモノの話はしないし(今局所的に超燃えまくっているので触りたくない)、ドチャシコとかもう誰も使ってないし、日常生活を送っていてあんなに動きや言動全てがヲタクだとわかるヲタクなんてほとんどいないよね。

あまりに時代錯誤な演出・ヲタクの描き方が多分全ヲタクの大不快ポイントだったと思うんだけど、福田雄一もそこまでバカじゃないから令和を生きる実際のヲタクとは全然違う事、さすがにわかった上でやってるんじゃないかなと思った。
これはわたしにしてはものすごくポジティブな解釈だけど、ここまで時代を遡らせて、脚色して、一般人とは違う描き方をしないとヲタクが主人公の映画を作れないくらい、今のヲタクってもう普通の人と同じくらいの人権を獲得出来てるって事かもしれないなと思った。
今の時代に即したヲタクを描こうと思っても多分普通の登場人物になっちゃうんだもん。皆擬態能力がんがん上がっていくしね。
ただでさえ一般人に擬態してるのに、それを高畑充希ちゃんにやらせたらそりゃもうただの可愛い女子主人公にしか見えないよね。
何やっても可愛いからあそこまでやらないとダメだったんだろうけどなんか見ててあんなに痛覚が刺激されてしまう充希ちゃん初めてだったよね。。
でも基本なんかカホコベースで、カホコってやっぱり普通の女の子じゃないんだなと思った。大好きだけど。

別に福田雄一が「ほらーお前らヲタクは一般人から見るとこんな風に見えるんだぞー?わかったかー?」って思っている訳ではないんじゃないかなと個人的には思いました。
「なんか普通の人になっちゃったから古きヲタク要素足しちゃう?」ってニュアンス加えたら怒らせちゃったみたいな。

いちヲタクとしての見解はこんなところですが、やっぱり映画としての完成度は結構低かったと思う。
「ヲタクのラ・ラ・ランド」って公式のキャッチコピー?よくわかんないけどただうすら寒いミュージカルを見せられただけでラ・ラ・ランド感はどこにも感じられなかった。好きな映画だからやめて欲しい。
高畑充希ちゃんの素晴らしい歌唱力を味わうならもっとしっかりした楽曲を使って欲しかったし、ミュージカル要素は全く必要なかった。
とは言えこの映画にミュージカル要素なくなったらさらに何がしたいかよくわからない映画になりそうな気もする。ミュージカルあってもよくわかんないけど。
曲が別に良くないのもさることながら、振り付けが絶妙にダサいなと思ったらエンドロールに我らが上島雪夫の名前を見つけて納得。
それでこそ雪夫。ダサいぜ。今のテニスってもう雪夫じゃないのかな?
テニスと言うコンテンツと雪夫のダサかっこいい振り付けの相性は抜群だと思うけどやっぱり大スクリーンの映画で繰り出されるとダサかった。
でも雪夫の振り付けで踊る斎藤工はあまりにエモすぎてこみ上げるものがありました。映画の感想、「斎藤工歌めっちゃ上手い」は出てくるのに「斎藤工ダンスめっちゃ下手」はあんまり出てこなくて、わたしこそ勝手な偏見で工の事を見ているのかもしれないと思った。
でも相変わらずボックスすらまともに踏めてなかった。売れたのに進歩なし。
あと今まであんまり見る事なかったけど賢人くんってもしや同属性?脚長すぎて正しい判断出来なかったけどリズム感がはちゃめちゃになかった気がする。
二人まとめてそろそろアメトークの踊れない芸人出て欲しい。
斎藤工をこのままなんでも出来る人として放っておいてはいけない。
そして相変わらず賀来賢人は何でも出来て最高。さすが奈々の旦那。完璧。
あれはオリジナルキャラなんだね?「ヲタクの役をやってください!」って言われたら多分何の指示も出さなくても彼ならあれくらい出来ると思う。
歌えるし踊れるしもう日本が誇るハンサム。

 

原作未読なので原作で主役二人がどのタイミングで付き合い始めるのか知らないけど、映画だと開始5分で何の苦労もなく付き合い始めててすごい私怨だけどそれに腹が立った。
ヲタクなんだから異性と付き合うのもっと苦労しろと思った。
何がヲタクに恋は難しいだと。簡単じゃねーかと。
タイトルからして付き合うまでのプロセスとかがわかんなくて好き同士なのに付き合えないみたいな話だと勝手に思ってたから中身ヲタクなのにこんなにかっこいい男と秒で付き合えるとか何も難しくない展開に一人で落胆してた。
ヲタクはひと昔前よりも数百倍数千倍人権を与えられたと思うし、昔よりカミングアウトしやすい世の中になったと思うし、人間として普通であればヲタクって名乗るだけで「うわ、ヲタクきめぇ‥‥」って言われる事はなくなった(と思う)。
でもやっぱりそれと恋愛は別で、ヲタクだからモテないのではなく、ヲタクと言うマインドが故に異性と付き合う事に色んな障壁が伴うと言う状況は時代が変わっても同じだと思う。
だって推しより好きになれる人が見つかるとか無理すぎない?
推しより好きな人に出会ったらヲタク辞めるとか言う人いるけどそんなん無理だからね。
そんな事してヲタク辞められた人いたら教えて欲しいわ。

 

レビューってよりなぜこの映画はこんなに叩かれてしまうのか?みたいな話になってしまったけど、映画としては2.5くらいかな?
(今Filmarks観たら記録付けてる中で一番低いのは2015年の玉森主演のレインツリーの木で2.2だった)
人に観ようかと思ってるんだけどどう?って聞かれたら他の観た方がいいよって言いたいけどその人がヲタクだったらどう思うか見解を聞かせて欲しい。

わたしは世の中のヲタクの反応を見て、ヲタクっていつの時代も被害妄想が半端なくて自意識過剰だなとこの映画を観て感じた。
世の中はあなたたちが思っている程あなたたちをもう特別な人間だとは思ってないよ。