ポンコツ女の大行進

気付けば妙齢の若手俳優ヲタク。

月刊「根本宗子」第10号/もっと超越した所へ。

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夏に初めてねもしゅーの事を知り、夏に初めてねもしゅーの芝居を観た。根本宗子と言う人間を今まで知らなかった自分を後悔したくらい、ものすごく刺激的でわたしの欲しかった芝居がそこにはあった。
バー公演とか新春イベントとか行きたかったんだけどどうしても都合がつかなくて、今回も観劇に使える休みが1日しかなくて、わたし今回テニミュまだ観てないから直前まで胃が痛くなる程悩んだんだけど故郷(?)を捨てわたしは根本宗子を選んだ。それくらい魅力的なお芝居を創る方。

相変わらず素晴らしかった。前回程終始号泣って感じではなかったけどやっぱり涙は出た。前回同様男は笑って女は泣く。それが1つのシーンで同時に起こるのが気持ち悪くて殺意が沸くのにあーーこれが芝居だ!!って素晴らしい作品を観てる事を実感出来る。
男たちは他人ごとだから笑えるのかな?今回出てきた4人の男は日常的にあるあるではないし、観劇している男性たちは思い当たる所がないから他人ごとなんだろうなぁと思う。でもきっと自覚症状がないだけでどの男もあの4人と同じような事過去の彼女とかにしてたりするんだよ。
女性もきっと中学時代に同じクラスだった男子に告白されて10年近くまっとうなお付き合いをして25歳あたりでめでたくゴールイン♡みたいな人生送って来た人にはフィクションなんだろうな。でもそんな女子はねもしゅー観に来るかな。大体の客席の女たちは、同じ経験がないとしても過去の恋愛経験の記憶からデータを抽出して4人のクソ男たちに過去自分が関係を持ったクソ男たちを当てはめて苦しくなったり泣きたくなったりするんだろう。

ネタバレ含みます。

セットは二階建てになっていて、一階に2部屋、二階に2部屋女子の部屋がある。1つのアパートって言う訳じゃなくて各部屋別次元に存在している。

●下段下手(美和@あやか)
片付けられない女まで行かないけどとにかく化粧品やら空いたペットボトルやら雑誌が散らかっててジャニーズのうちわとかお笑いのDVDとかがある、あまり生活レベルが高くなさそうな20代前半の今時の女子部屋

●下段上手(真知子@根本宗子)
収納もあんまりなさそうな狭いワンルームなんだけど自分の世界観を大事にしているこだわったっぽい部屋。壁にお洒落っぽいものが飾ってある。キティちゃんとか全体的に赤とピンクを基調としてる。根本さんが演じる役が住んでそうと思ったら合ってた。笑

●上段下手(鈴@大竹沙絵子)
カウンターキッチンで朝からグリーンスムージーを作って、アロマの香る空気清浄器におしゃれなソファーとか間接照明とかがある家賃が高そうな部屋。

●上段上手(七瀬@梨木智香)
自宅ではない一室、ムーディーなベッドルームでインターホンが付いている事から風俗店の一室って感じ。ホテルなのか?でもインターホンで時間の連絡が来るって事は店?よくわからん。

セットです!!!!って感じのわざとらしさが全くない作り込んだセットは秀逸。前回9.5号の根本さんの部屋もすごかったけど、等身大の、20代半ばの女性だから作れる女子部屋のリアリティがたまらなくて舞台の上って事を上演時間中1度も思い出さない。

ざっくり言うと、2015年付き合ってる(訳ではないとこもあるけど)4組のカップルが揉め事を起こすんだけど、2年遡って2013年の回想シーンになると同じ部屋に2015年のシーンでは他の女子のパートナーとそれぞれ付き合ってるって言う感じ。
すごい説明難しい・・・一見4部屋の女子たちは全く関係のない4人だと思いきや、今一緒に過ごしている男は2年前他の部屋の女子と関係を持っているって事。それはお互いの男・女誰も知らない。
二度同じ説明をしたけど多分まだ伝わってない。笑

9.5号の時は根本さんが嫌いだと言うクソ女たちのパーティで、クソ男は川西くん(土屋シオン)1人だったけど、今回は女子たちは皆まともで、クソ男の大博覧会って感じ。わたしも過去を振り返ると色んなクソ男を見て来たけどそんなの可愛く見えちゃうくらい全員クソカス男だった。舞台にあがってちnこ切り落としてやろうかと思うくらいゴミカスだった。

クソ男大博覧会①泰ちゃん@猪股和磨 滑舌の悪い今時チャラフリーター
【2013年】風俗嬢七瀬に中出しして妊娠が発覚、七瀬が妊娠を伝えると逃亡、臨月ごろのこのこやってきてなんで中絶してねーんだとキレる。七瀬が1人で育てるし慰謝料とか養育費は請求しないし誰にも言わないから産むと言うと今後絶対に関わらないと誓約書を書かせる。
【2015年】今時女子美和と付き合っている。お互いちょっとバカだけどよくいるお花畑な平和な今時カップルって感じ。でもある日美和が風邪っぽく具合が悪くて病院に行く。もしかしたら妊娠しているかもとビビリ出す泰ちゃん。診察の結果妊娠してなくてものすごくホッとする。て言うか大喜び。それでもクソだなって思うけど、妊娠はしてなかったけど子宮頸がんが発見される。でも泰ちゃんは妊娠してなかったと言う事実に大喜びでずーっとよかったーよかったーって言ってる。よくねーよ。彼女が子宮頸がんだぞ。

女の強さと対照的に男の弱さが顕著に出てたのが泰造だったなぁ。七瀬のおっきいお腹を見てびびりまくってて。七瀬やお腹の子の今後の事を心配している訳じゃなくて、1人で育てるって言ってる七瀬が将来お金を請求してきたりこの子が泰造の子だって言いふらして社会的な信用を失う事やその時付き合ってる彼女や奥さんと別れる事になってしまうかもしれない自分の事を心配して震えて泣いてる。ほんとにクソだな。
本番(しかも生で)やる事をOKした七瀬の心理も全くよくわからないから泰造だけを攻めるのは可哀相かもしれないけど、とにかくわたしは子供が出来ても責任取れないノーヘル男が世界の何よりもカスだと思っているし美和の病気の事聞いた時も妊娠してなければ別に彼女ががんでも関係ないって言う泰造の姿勢が90分の中で何より許せなかった。

クソ男大博覧会②怜人@土屋シオン バンドマン(志望)
2013年→美和(クソ男①の現彼女)と付き合っている。フリーターならまだしも曲作りに集中したいと言う理由で無職。ツイキャスで固定ファンがついてるだけで売れてて人気があると勘違いしている。自分はファンミーティング()みたいな訳のわからない集まりを開催してる癖に美和が高校のダンス部の飲み会に行く事にキレる。自分は芽が出てないギタリストなのにダンス部のメンバーでダンスを続けてる人がほとんどいない事を意識が低いとか馬鹿にする。美和のヒモ状態なのに美和が買った服を露出が高いとか男を誘惑する為にそういう服を選んでる、二度と着るなと言う。趣味が彼女。執着心と束縛がやばい。ヒモの癖に。
2015年→パッチワークアーティスト(?)真知子と付き合っている。仕事が大変になったタイミングで恋愛も上手くいかなくて精神的に参っていた時に中学の同級生の怜人に真知子がTwitterで接触。すぐに転がり込んでくる。(真知子『ちょっと可愛いから軽率に部屋に呼んでしまった』)相変わらず無職でツイキャス廃人。そのままずるずると同棲状態になり、2人だと狭いから引っ越そうと真知子が提案するも拒否。家賃や光熱費も真知子が全額払っている状態だし怜斗の金銭事情が気になり勝手に通帳を見ると毎月10万円美和と言う女から振り込まれている。元カノのヒモを続けていた。

前回の川西くんに引き続きほんとにバンドマン(志望)とか役者(志望)と言う名の無職とかフリーターとかの話は刺さり過ぎるからやめてほしい。
「普通の人は生きる為に普段仕事してるから彼女以外の事も考えたり悩んだりもするんだよ?でも怜人くん毎日何してるの?ツイキャスしてるだけで仕事しなくて時間を持てあましてて彼女の事以外考える事も悩む事もないからそんなに彼女を束縛するし彼女に執着するんだよ?!」
「女の人から貰ったお金で生活してるってそれヒモだよ?!いつもコンビニのお弁当とか買うだけでわたしの事養った気でいるみたいだけどそれ元カノのお金じゃん!!なんで知らない女の人にお弁当買ってもらってるのわたし!!ヒモになるならせめてわたしのヒモになってよ!!!」
美智子の叫びはなんかもう一番辛くて消えてしまいたくなった。そして2作連続でこんな役を見てると土屋シオンと言う素材のアイデンティティがどこにあるのかよくわからなくなってきてしまった。彼はデジモンの選ばれし子供たちに憧れる純粋な役者だと自分の心に言い聞かせて劇場に後にした。

クソ男大博覧会③トミー@小沢道成 美形のオカマのゲイ
2013年→(クソ男②の現彼女)美智子の仕事を手伝っている(作品のポートレートモデルや制作の手伝いなど)。美智子はトミーがゲイだとわかってはいたけど好きで、それにトミーはうすうす気付いているけどその気持ちを知っていて無邪気に甘えたり同じベッドで寝たり他の男との恋愛相談をする。
2015年→元人気子役鈴とお友達。でもやっぱり鈴もトミーに惹かれてしまい、一緒に部屋で映画を観てた時に思わず鈴はトミーにキスをしてしまう。それに対してトミーは大パニックと言うかまるで無視を触ってしまった時みたいな嫌悪感を全面に出しながら口を執拗にすすぐ。その気がないなら優しくしないでと2年前と同じ理由で泣かれる。それに対して「オカマだけど鈴ちゃんとだったら付き合える、結婚できる、家庭が築けるかもって思ってた、将来の事も色々計画してた。でも鈴ちゃんがそういう事(キス)をしたせいで僕の人生の計画が全部狂った」と逆ギレ。

トミーもいい人っぽく見えて地味に残酷だったなぁ。わたしオカマとかゲイの友達いないから感覚がわからないんだけど、自分の事多分好きなんだろうなぁってわかっててあそこまで近い距離感で色んな生活をするトミーって女と男の悪いとこ取りって感じだった。美智子の「好きだから一緒に寝てたらちゅーとかエッチな事とかしなくなっちゃうのなんでわかんないの?!寝てるトミーの隣で1人でしてたとか恥ずかしくて誰にも言えないよ!!!!」って言うのが本当に苦しかったし、それに対して「ごめんね、エッチは無理だけど我慢して頑張ればチューなら出来るかも!最後にしよう、チュー!」って言うのもあまりに酷すぎて刺してやりたくなった。
2年後鈴との関係が壊れる時も「2年前も同じ事を違う子に言われて関係が終わっちゃったんだ。だから次の子と同じ失敗しないように僕にダメなところあったら教えて?」って鈴に言うのも酷い。身近に体験例がないからどうにか我慢出来たけどきつかった。

クソ男大博覧会④慎太郎 プライド高き売れない元人気子役
2013年→子役の時に知り合った鈴(クソ男③の現パートナー)と付き合っている。当時はお互い売れっ子でその時の稼ぎで生活水準の高い暮らしが出来ていたがお互い仕事は減り、鈴は生活していく為にヘアメイクも衣装も自前の深夜のバラエティなどの仕事も受けているが慎太郎は役者としてのプライドが高く全く仕事をしない。当時お世話になった人からコネで仕事を貰ってバラエティに出る鈴を僻み心底バカにしている。
2015年→風俗嬢七瀬の常連客。毎回射精する瞬間に「慎太郎の芝居が一番面白い!!」と七瀬に言わせて果てる。あまりテレビなども観ず、未だにガラケーでネット検索も出来ない七瀬には人気俳優と自称している。タブレットを購入した七瀬が、慎太郎の事を検索し、出演している映画(エキストラ)を観る。七瀬は自分のお客さんが映画に出てる事に素直に感動し、エキストラでも慎太郎が一番輝いてると本当に思ったのでそれを伝えると慎太郎はバカにしてんだろとブチギレ。バカだから風俗嬢やってるんだろ、いいんだよ風俗嬢はバカなままで、バカなのに余計な事してるんじゃねー、風俗嬢ごときがと扱き下ろし。

前回の川西くんをシオンにしたのもそうだけど、今回も現役役者の方に風俗店で「あなたの芝居が一番面白い!!」って風俗嬢に言わせながらイキたい役やらせた根本さん最高にロックだよね。前に誰か芸人さんが自分のネタを見て笑ってる彼女を隣に起きながらするオナニーは最高とか言ってた気がするわ。多分慎太郎と同じようなプライドで役者やってる人沢山いるんだろうなぁ。

 

 

どのカップルも、結局は彼女側がブチ切れて、男4人は泣きながら謝るも今すぐ出てってっとそれぞれの部屋を追い出される。そこでセットの柱に「完」の文字が映し出されるけどここで終わる訳がない。
そこからが今回のタイトル「もっと超越した所へ。」のキモだった。別次元に生きていてそれぞれの部屋でご立腹な女子4人が「ええええちょっと待って?!これで終わり?!」と会話を始める。で、自分の相手がクソな事はわかっているけど2年前に自分が経験した失敗・失恋と同じような事を繰り返すのか?と自問自答し、どうにか男を許そうと自己暗示をかける。でも時は既に遅し、男たちは自分の元を立ち去ってしまった。さぁどうしよう?!⇒皆で思い切り念じれば時間が戻る!!!!
と、4人が念じると未知との遭遇(かな?)のBGMと共に数分間時間が元に戻る。そしてどうしようもなくクソな男たちを抱きしめる。
リレー形式でクソ男4人がSMAPのDearWOMANを歌っている間に女子4人はセットの死角で赤いドレスに着替え、最後はパートナーと踊った後に「TSUBAKI!!」とシャンプーを持って叫ぶ。そんなエンディング・・・

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事実を書いてるんだけど最高にロックでファンタジーでいい意味で意味がわからない結末だった。90分中85分はリアルで痛くてあるあるなんだけど、残り5分でそれを全部作り話でした、これはあくまでお芝居なんですよって意思表示をする作り込み。わたしは素人だから根本さんの考えている事はわからないけどあの5分があるのとないのでは作品の印象がガラッと違ってくるなぁ。 
あまりに等身大のお話で、生きてきた環境にもよるけど人によっては舞台上に起こってる事が自分の人生の回想シーンみたいに思えてしまって息をするのもしんどくなる。でも前回同様、ラストにとんでもなくぶっとんだオチをつけて、客席を立って劇場の外に出る時にはしっかりと観た人を「現実」に帰してくれるところがわたしはとても好きで、決して明るい話ではないんだけど割とすっきりした気持ちで帰りの電車に乗れる気がする。

今公演はとにかく女の強さを感じた。多分根本さんが描きたかったのはクソすぎる男どもじゃなくて、そんなクソ男なのに愛してしまった自分を許容する事と、クソ男たち自身を許容すると言う女性の強さ。特に風俗嬢七瀬の、女性として母としてたくましく生きる姿にとっても勇気を貰った。
女って男が思ってる程弱い人間ではないと思う。そりゃ隣に好きな人とか自分を支えてくれる人がいたらそこに寄りかかったりする事はあると思うけど、それを男側は「俺がいないと何も出来ないんだ」と勘違いして女は弱いと決めつける。勿論常に隣に男置いとかないと生きていけないメンヘラも勿論この世の中には沢山いるけど、基本的に女はたくましい生き物だ。
今回の作品は観る女性たちに沢山勇気を与えてくれたと思う。そしてそのたくましさを男性客にも伝えたかったと思うけど、あれだけ爆笑している男たちにはきっと何も響いていないだろう。でもそれでいいんだよね、だってこれ演劇だから。作り物だから。

 

埋まらないから関係者だらけって言うのはよく聞く話だけど、ねもしゅーは招待ではなく自腹切って演劇関係者が沢山来てる。駆け出しの役者はもちろん、地下アイドル、脚本家、演出家、映画監督、色んな業界人がものすごく注目している女性だと思う。わたしはよく、あの佐藤健様とプライベートでツーショを撮った事を自慢しているけど、近い将来、ねもしゅーのお芝居を〇号から観てるって事を自慢出来るようになると思う。

根本さんの本はわたしの日常生活で埋められない欲の部分をテトリスみたいに埋めてくれるからたまらない。わたしは根本さんの作品に苦しめられているのか救われているのかわからなくなった。前回は苦しいだけだったんだけど、今回はなんか救われた気がする。
毎回ステマしまくってるけど次回10月公演、皆本当に観た方がいい。
多分回を追うごとにどんどんチケット取りにくくなってくるから観るなら本当に今だと思う。