ポンコツ女の大行進

いにしえの若手俳優ヲタクの昔話

月刊「根本宗子」第12号/忍者、女子高生(仮)

この夏でこの公演から2年経つんだけど未だにアクセス数が伸び続けている。どうやらTwitterのシオンの炎上まとめみたいなものの中に入れられてるようだけど、わたしは別にシオンの事も根本さんの事も全然嫌いではないし、根本さんの事はメンヘラだとは思ってるけど本当に同世代としてものすごく尊敬出来る才能を持った変人だとも思っているので、叩くつもりは全くないです。
まぁ二人がつきあってる事が本当に事実だとしたら気持ち悪いなぁって思うけど、気持ち悪いなぁと思う事と嫌いって感情はちょっと違うよね。

 

って事で12号観てきた。一緒に観に行ってくれる人がいないから毎回一人なんだけど、根本宗子の書く話はわたし一人のキャパじゃとてもじゃないけど咀嚼しきれないし、かと言って違う価値観を持つ人や解釈違いの人と話をするとそうじゃねえんだよおおおクソが!!!!って発狂しそうになるから難しいんだよね。
わたしのクローンと連番したいよ。

 

わたしの稚拙な文章じゃあらすじすらまともに説明出来ないんだけども、今回はいつもとはちょっと違うテイストだったなぁと思った。
まぁ『いつもとは』ってまだ数作品しか観てないけど。
今までの作品は基本的に男女の恋愛の縺れがメインになってたと思うんだけども、今回は「男」と「女」ではあるけど恋愛と言うよりも歪んだ家族愛と言うか頭のおかしいファミリーものだった。
去年のもっと超越した所へ。と全く同じ女優4人・俳優4人が演じてたんだけど前回と全く配役や関係性も違うし、何より全員とっても上手いので全然前作とかぶるなぁって感じる事はなかった。

安曇野(アズミノ)家の母(離婚した為父は不在)、長男、次男、三男、長女、長男の嫁(同居)、次男の嫁、三男の嫁、長女の担任(24歳)と言う登場人物構成。

出演者が8人なのに登場人物が9人いるのは、母役を、外出中などの設定の長男・次男・三男が交代交代で演じてたから。息子たちに自分の事をみちこと呼ばせ実子なのに男として見てる超超息子を溺愛する母、そんな母に育てられ自分の嫁よりも母を優先し、母を愛する超マザコン息子3人。
そんな頭のおかしい母と兄貴3人と同じ家で暮らしこの家は狂ってる!わたしはお前らとは違う!と反抗し続ける末娘。
そんな末娘の担任と、母が結婚する事になり、娘は「先生は母ちゃんにだまされてる!娘の担任と結婚しようとする母親も教え子の母親と結婚しようとする先生も頭がおかしい!」と大反対し、息子たち3人は大好きな母親を若い男に取られてしまい「あいつは結婚詐欺師だ!!みちこが死んだら豹変して遺産を根こそぎ奪おうとするんだ!!」と違う理由で大反対する。
とまぁそこまでは胸糞悪い狂った家族物語なんだけど、ラスト数十分がやっぱり根本宗子の書く作品だなぁと言う感じ。
意味わかんないっちゃ意味わかんないんだけどね。
毎作品ラストに向けた怒涛の展開を見ると彼女は本当に今の演劇をぶっ壊したいんだなって言うのが伝わってくる。
見慣れてしまうとキタキタキター!って感じなんだけども、見慣れないと本当に唖然とする。意味わかんないから。
ラストがあってこそ楽しい作品として成立するけれども、今作品はここ数作品観た中で最も胸糞が悪く、とてもじゃないけどウキウキした感情も持ち帰れる状態ではなかった。

良かった舞台作品って、何度でも見たい良い作品ともう二度と観たくない良い作品があると思うけど、忍者は完全に後者で、とってもよかったけどもう一度観ろって言われたら丁重にお断りしたい。

普段のねもしゅーに出てくるクソ男たちは身近にもよくいるし、死ぬ程クソだと思うしマジで消えて欲しいと思うけど気持ち悪いって言う感情はあまり抱かない。今回の安曇野家の3兄弟は、とにかく生態を目の当たりにすると気持ち悪くて吐き気が止まらなくなる感じ。
行きすぎたマザコンってこんなに気持ち悪いんだ。実の母親を女として見ている男ってこんなに気持ち悪いんだ。

ウエッてなるエピソードは沢山あったし三兄弟もマジで気持ち悪いんだけど、さくらの担任が安曇野家の母親に惚れて結婚をした理由が、死んだ母親にそっくりだったからって言う最後のテポドンマジやばい。
シオンは芝居特別上手いとは思わないけどこの異様なまでの母親への執着心、心底気持ち悪くてとってもよかった。自身の異常性を全く自覚していない感じ、恐ろしさすら感じた。
結局安曇野家の母親も亡くなってしまい、最後はその愛情の矛先が教え子にさくらに向かうとこ、背筋がゾッとした。
同じような役しか出来ないと思ってたし、演技プランは前回のクソ男たちと割と同じではあったけど今回の役はとってもシオンに合ってたと感じた。わたしは嫌いじゃなかった。

わたしはこの8人のバランスがとてもいいなと思う。
根本さんも今まで観た役は割と実在したら仲良くはならないだろうなってタイプが多かったけど、今回の女子高生役は「わたし実は忍者なの」とか言って自宅内に隠し扉とか作ったり畳の裏に隠れてたりとっても変な子だったけど、とっても常識人で、高校生としてのワガママなとこや可愛らしさもたっぷりでよかった。何より根本さんが女子高生に見えた。笑
梨木さんもあーぽんも色んな作品観る度にどんどん好きになっていくなぁ。二人とも毎回担当するのは同じような役柄だけどそれが毎回ぴったりで。
梨木さんは世界を飛び回るバリキャリの役だったけど海外電話するシーンですげー適当な英語しゃべっててめっちゃ面白かった。「あーあの草間彌生のパクりみたいな水玉よ。だから!!!YAYOI!!!KUSAMA!!!」って言ってたの最高だった。喋り方がツボ。
あーぽんはいつも頭の悪いギャルの役だったけど今回はちょっと違くて、一番やりづらい三男の嫁で、「上二人の嫁は全然子供産む気なさそうだからなんかポンポン産んでくれそうなあんたを嫁にしたのに女ばっかり産みやがって」って男の子の孫を産む機械としか姑思われてない観ててとっても心が痛む役だった。でもそーいう役も上手いなぁって。なんかいつも以上に安易な感想しか出てこないけど、あーぽんの顔もお芝居もとっても好きです。

不快だったって連呼しても作品として良かったと最後に言えるのはちゃんと不快なお話の後に根本宗子が根本宗子テイストをしっかりぶつけてくるからなんだけど。
本編で胸糞がめちゃくちゃ悪くなって今すぐにでも劇場を出たいと思っていたところでぶち込んで来るはちゃめちゃ展開はやっぱり最高だった。
あのシーンがないと、ただひたすらリアルで、観客の女性に不快感と結婚してもお先真っ暗感を突き付けて終わってたと思う。でも、きちんと最後に会場を出る時には「芝居を観た」って言う気持ちにさせてくれると言うか、現実と演劇の線引きをきちんとしてくれる構成にわたしはいつも救われている気がする。

スズナリでがっつり戸建てのセットを組んだ上でその中で殺陣をやるって言うのはあまりにも強引すぎると言うか立ち回りをするキャストたちがかわいそうになったけど。
わたしがねもしゅーを知るきっかけになったわた女以外の作品は基本的に最後は笑って会場を出られている気がする。
多分本編中は泣きそうな顔で眉間にシワ寄せて周りの笑ってるオッサンを心の中で刺しながら観てるけどね。

やっぱり相変わらず客層は老若男女本当にバラバラで、観ながら考えている事もバラバラで、そんな人たちと同じ空間で、しかもあの狭さの中に詰め込まれて同じ作品を観るのは今回もかなり拷問だった。
ねもしゅーの常連さんから聞いたんだけど、わたしが目の敵にしている全く笑えないシーンで手を叩いて爆笑しているオッサンは毎公演同一人物らしい。わたしは毎作品1回しか観に行ってないのに毎回同じ日に当たってしまって余程観劇日がかぶるんだと思ったら基本毎日いるらしい。
今回は、男の子の孫が欲しい安曇野母に、「今回(第二子)も女の子なの?あなたなんで女の子産むの?あれだけ男の子産んでちょうだいって言ったわよね?女の子はいらないの。可愛くないから」って頭からお茶をかけられる三男嫁(妊婦)のシーンで爆笑していて殺意が止まらなかった。こういう奴が嫁にモラハラ働くんだろうな。まぁ多分童貞だろうけど。
女を侮蔑するようなセリフやシーンで決まって大爆笑しているあのオッサンをわたしはいつか上演中に刺してしまうんじゃないかと本当に心配。
女限公演作ってくれないかな。うるさいし席からはみ出てるし臭いオッサン多すぎて・・・皆同じお金を払って観てるんだから客層にケチをつける権利なんてわたしにはもちろんないんだけど、ねもしゅーの客層が苦手すぎる。
ねもしゅーの後にイケメンワラワラ舞台観ると安心する。観劇慣れしてない原作厨の私語とか携帯いじりよりも頭に来る。マナー違反は注意出来るけど何も悪い事してないオッサンには注意出来ないからね。

 

根本宗子と言う同世代の頭のおかしい鬼才に出会ってから2年が経って、数作品観てきたけど、どれが一番よかった?って言われてもやっぱり初めて観た私の嫌いな~が一番なんだよなー。あれを越える衝撃にまだ出会えてないな。
題材も題材だったから多分一般客よりも感情移入出来たと思うし他の作品よりもかなり有利だと思うけど。

 

秋、遂に本劇です。
しかも主演橋本愛ちゃん!あの橋本愛ちゃん!!!ユイちゃん!(あまちゃん過激厨)
大きくな劇場であの色のお芝居をやるのってどうなんだろう。まぁ主演も有名人だしキャパ大きくするから内容ももうちょっと商業演劇に寄せてくるのかもしれないけど。
でも商業演劇に寄せたらめっちゃ白けそう。ちょっと心配。
この作品の前身になる「夢も希望もなく」は残念ながら観れてないんだけど、観に行った友達から好きそうと言われてるのでめっちゃ楽しみ!!!!!

ねもしゅー仲間が欲しい。